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業種別コーポレートサイトの整備状況調査【2020年6~7月】結果レポートを作成しました

当座比率(Quick Ratio)

当座比率(Quick Ratio)経営分析
当座比率(Quick Ratio)
当座比率(Quick Ratio)
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計算式

\displaystyle \bf 当座比率=\frac{現金同等物+有価証券+net売上債権}{流動負債}

流動比率は、貸借対照表(B/S)の借方にある最も換金性の高い流動資産を貸方にある流動負債で割った比率で求められる。

上式の割り算の商に100を掛けて、百分率(%)で表示する方法も採られる。

  • 現金同等物:手持ちの現預金+取得日から満期日または償還日が90日以内の短期投資(定期預金、譲渡性預金(CD)、コマーシャルペーパー(CP)、売戻し条件付現先、公社債投資信託)
  • net売上債権:回収が十分に見込まれる売上債権、貸倒引当充当額を引いたもの

定義と意味

1年以内に弁済されるべき流動負債をカバーできるだけの流動資産がどれだけ企業内に蓄積されているかを確認する指標。

弁済に充当されるべき資金は、①すぐに用意することができる、②現金化する際に大きく価値が目減りしない、という性質を兼ね備えておく必要がある。

「流動比率」と「当座比率」の大きな違いは、「当座比率」の分子には「棚卸資産」が含まれていないことである。

通常、棚卸資産を流動化(現金化)する場合には、①売却先を探し、売却額を決めて実際に引き渡す、②売却資金を回収する、という2ステップを必要とする。

一方、「当座比率」の分子に含まれる「現金同等物」「有価証券」「net売上債権」は、現金化するというワンステップで支払いに充てることができるという大きな違いがある。

さらに、現在保有中の棚卸資産を現金化するということは、将来のビジネスにおけるキャッシュインを先食いしていることを意味するため、棚卸資産を換金して、現在の短期債務の支払いに充てるのは企業経営にとって不健全であるという考え方もできる。

そのため、より厳格に保有資産の流動性を評価するために、「当座比率」には棚卸資産を含めない。

ちなみに、「売上債権」は回収期日前であっても、ファクタリングなどの資金融通ができるため、「当座比率」の分子に含められている。

「当座比率」は、企業が外部から新規の借入金などに頼らずに、自社で保有している現有資産だけで目先の負債の支払を決済できるかどうか、短期の支払能力を確認するものである。

棚卸資産を除くことにより、「流動比率」より厳格にこの短期の支払能力を評価する指標である。

「当座比率」は、別名「リトマス試験比率(Acid Test Ratio)」とも呼ばれ、「流動比率」と共に、銀行家が融資先の信用管理に利用してきた。

この指標は、一時点のストック情報を使って計算されているため、当座比率が示す数字の高低が直接、その企業の資産回転の新陳代謝の程度を表しているわけではない。

棚卸資産を計算に含めないため、不良在庫の影響は受けない。債権の回収可能性を考慮するため、滞留債権の影響は受けない。「流動比率」より流動資産の「質」を厳しく評価する指標ではある。

なお、分子に「前払費用」は含まれない。これは流動資産の一部だが、換金性がないため、短期の支払能力を見る「当座比率」には関係がないからである。

解釈と使用法

「流動比率」と同様、一般的に(この”一般的”が実は怪しいのだが)、「当座比率」は、1倍または100%を超えていることが望ましいとされている。

これは、流動負債の返済を迫られても、手持ちの換金性の高い流動資産でいつでも支払う(弁済する)状態にあることが望ましいとする考え方に基づく。

「当座比率」が1倍または100%を切っている場合は、企業の短期の支払能力に疑義が生じている可能性があり、新規融資などが受けにくくなる傾向があるといわれている。

当座比率 < 1倍 または 100%

この値が「1」または「100%」を切る場合は、短期の支払能力に疑問が生じていることを示す

逆に、この比率が、1倍または100%を超えている場合は、外部借り入れに頼らなくても、即刻、手持ちの流動資産を換金することで、目先の債務の弁済に充てられると考える。

そのため、1倍または100%が短期支払能力の維持に関するひとつの目安となっている。

当座比率 > 1倍 または 100%

この値が「1」または「100%」を超える場合は、短期の支払能力が十分にあることを示す

なぜ、「2倍」ではなく、「1倍」(または100%)なら安全といえるのか、理由が知りたいところである。

流動負債の金額はほぼ確定しており、1年以内に弁済の義務を果たすべきものである。少なくとも、現在見えている将来の支払い義務を果たすだけの資金的余裕を保持しているかを「当座比率=1倍」が表している。

ただし、現時点から債務の弁済が迫られるタイミングまでの間のビジネスからのキャッシュインについては、考慮していないため、不完全な支払能力の査定であり、それゆえ、保守的な評価ともいえる。

「流動比率」同様、「1倍」うんぬんの適正水準については、19世紀の米国の銀行家たちの皮膚感覚に源流が求められる。

実際には、業種や市場でのポジションによって、企業ごとにキャッシュサイクルの長さが異なることが知られている。

景気変動に敏感に反応せざるを得ない市場でビジネスを営んでいる企業と、安定的な収益が見込まれる資本集約的な業界でビジネスを営んでいる企業とでは、短期の支払能力がこれで十分だという比率は異なっていることが多い。

おそらく、複数のアナリストに尋ねても、唯一解としての最適な「当座比率」を引き出すことは難しいと思われる。

しかし、貸借対照表(B/S)から2つの残高を割り算するだけで求めることができる「当座比率」は、手軽に、現時点の短期の支払能力がをチェックできることから、現在でも参照されることが多い。

シミュレーション

以下に、Excelテンプレートとして、FY14~FY19のトヨタ自動車の実績データをサンプルで表示している。

入力欄の青字になっている「期間」「現金同等物」「有価証券」「売上債権」「金融債権」「流動負債」に任意の数字を入力すると、表とグラフを自由に操作することができる。

どんな入力をしても、元ファイルが壊れることはない。入力し直したい、元に戻したい場合は、画面を更新(F5押下など)すれば、初期値に戻る。

自分の手元でじっくり検証したい場合は、上記のダウンロードボタンから、Excelをダウンロードすることをお勧めする。

日本の中小企業の平均値は、「1倍」「100%」前後である。

上記サンプルのトヨタ自動車は、徹底したコスト管理と納期・在庫管理(トヨタ生産システム)で有名である。そのトヨタが流動比率100%を下回る水準で資金コントロールされている点はとても興味深い。

本稿の趣旨とはずれるが、コロナの影響で手許現金を増やし、株主との対話意を進める中で有価証券を減らしている点も見逃せない。

参考サイト

同じテーマについて解説が付され、参考になるサイトをいくつか紹介しておく。

当座比率 - 決算書の読み方・財務分析のしかた
当座比率は、当座資産と流動負債とを比較することで企業の短期的な支払能力(安全性)を判断する指標です。当座比率は実際に負債の支払原資となる当座資産のみを支払原資の対象としているため、流動比率より厳密に支払能力(安全度)を判断することができます。
当座比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
当座比率とは会社の支払能力を示す経営指標である。当座比率は当座資産と流動負債を用いて算出する。経営者が抑えるべき当座比率の計算式と適正水準を事例を交えて徹底解説しています。
流動比率と当座比率

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